『派遣切りで路頭に迷ってる奴らは自己責任』と言える御方は神

うっかり、『派遣切りで路頭に迷ってる奴は自己責任』系の記事を
読んでしまいました…。


【前提】
* 僕に経済学の知識はありません
* 僕に労働法の知識はありません
* 僕は健康な両親の元で暮らしている無職の腐れスネかじり野郎です



『自己責任』とは、僕にこそふさわしい言葉だと思います。


何のアテもなく、なんとなく大学を中退し、とりあえず手に職を
つけたほうがいいのかなと電話帳を開いて目に留まった程度の理由で
調理師学校に入学したものの3ヶ月で退学し、自動車を運転するだけの
気楽な稼業なんだろうと2tトラックで配送する仕事に就いたものの
1年8ヶ月で逃げ出し、住む場所が変われば自分も変われるかなと
静岡県の携帯電話の工場で派遣だか請負だかで働きはじめたものの
仕事がつらくて2ヶ月ちょっとでトンボ帰りして…などなど、
あとさき考えずに、他人の迷惑も考えずに思いつきで人生を漂ってきた
僕こそ、『自己責任だ』と切り捨てられるべきだと思います。


今回派遣切りに遭った人々の中にも、『きちんと履歴書を書くのが
めんどくさいし、いつでも気軽に逃げ出せるからラクだ』などの理由で
派遣を選んだ超絶バカが存在するのかもしれません。



が…、派遣という働き方は、労働者側の要求で実現したものだったでしょうか?


終身雇用でがんじがらめにされることを嫌った人々が自由な働き方を
求めて、議員に陳情したり、署名を集めたりといった活動が実って
ついに実現した制度、だったでしょうか?

優秀な人材の流出を許さずに一生会社に縛りつけようとする経営側の
抵抗を打ち破って、リスクを背負ってでも腕一本で生きていく覚悟を
決めたチャレンジャーたちが掴み取った権利、だったでしょうか?


また、労働者の権利について一般の国民が十分に学び、理解する
機会はあったでしょうか?
権利の存在すら知らない人が多いのではないでしょうか?



『自己責任』とは、派遣という働き方を拡大させ、外需頼みの経済から
脱け出せず(脱け出そうともせず?)に、今回の経済危機から受ける
被害を、より大きくした人々に向けて言うべき言葉ではないかと思います。


どうしようもなく大きな流れの中に、知らず知らず引き寄せられ、
飲み込まれてしまった人々に対して『自己責任だ』と批判している人々は、
おそらく、犯罪者か薬物中毒者になるしかない貧民街に生まれながらも、
安楽な誘惑を断ち切って克己勉励し、淀んだ町から脱け出し、運命に抗って
自らの力で道を切り開いてついに成功を勝ち取った、というような
『伝説の英雄』レベルの方々ばかりなのでしょう。
腐れスネかじり野郎の僕とは、器が違うのですね。