人生の傍観者

小学生のころ、学校のそばの公園で、一組のカップルが
ベンチに座っているのを見かけた。
男が立ち上がり、歌いだした。
笑った。


僕は、ずっと笑う立場でいられるのだろうと思った。
恥をかく必要はないのだろうと思った。
先人たちがたくさん恥をかいたり失敗したりしてくれて、
僕は、その試行錯誤の結果導き出された正しい方法を
涼しい顔をして実行すればいいのだと思っていた。


…テレビドラマのような本気の言い争いは、ほとんど
やっていないような気がする。
そんなことしなくても、相手が自分の気持ちを察して
くれるだろうと期待している。


泥まみれの試行錯誤を嫌って、自分の人生さえも
傍観者の立場で眺めているのかもしれない。