ハロウィンが嫌い

現代からさかのぼって千年前というと、平将門の乱とか刀伊の入寇とか。
軍人の台頭。国境近辺での外来の海賊との戦闘と、事後の隣国との交渉。
当時の人々と同じ感覚で事件を振り返ることはとてもできないが、
今に活かせる教訓もあると思う。
平将門の乱が千年後の我々にも広く知られているのは、この記憶を後世に
残そうという有形無形の支援が切れ目なく続いたおかげだろう。


史書に記されることなく忘れ去られていった記憶・教訓もたくさんあるだろう。
受け継がれた伝統はほんのわずかで、ほとんどの記憶は歴史のどこかで
途切れてしまったはずだ。


これから千年後、小学校の歴史の授業ではどんなことを教わるのだろう。
現代の我々にとって、第二次世界大戦の記憶は、体験者たちが
亡くなった後も受け継いでいくべきものだ。
しかし、千年後はどうだろう。
今後千年の間にも、記憶されるべき事件がいくつも起こるだろう。
となれば、僕らがどんなに保存活動に努めても、千年前の戦争記録の扱いは
相対的に低くなるだろう。


受け継がれるべき記憶の取捨選択は、容赦なく行われる。
その時代その時代の人々の興味関心によって、その運命は決まる。
日常の些細な行動で、たえず選別を行なっている。


だから、ハロウィンは嫌いだ。
縁もゆかりもなく、好きでも萌えてもいないのに、10月の僕の記憶を
侵食しようとしている。
ハロウィンに乗じてモノを売ろうとしている人々は、ハロウィンこそが
後世に残すべき伝統行事であるとの信念を持っているのか。


ハロウィンも七五三も恵方巻きも盆正月も父の日母の日もクリスマスも嫌いだ。
千年後に何を残したいのか、和風洋風こだわらずにもう一度点検してみたい。
自分の信念に基づいて、祝うべきものは祝い、悼むべきものは悼みたい。


…『外国ではこんな風習があるんですよ〜』って、ちょっとニュースで触れる
程度の頃は好きだったのに…(´・ω・`)ショボーン